生吹様(千葉代表)
準優勝おめでとうございます!!
――なにも特別なことをしたわけではなかったが、あの日の思い出だけは死ぬまで忘れないだろう。内海真は毎年夏になると、幼い頃に母親に連れられて港町を歩いたことを思い出す。家族はばらばらになり、新卒で入った会社は倒産。転職先も未だ見つからず、唯一の特技であり趣味でもある小説の執筆も思うように捗らない。そんな時、再びあの記憶がよみがえる。平成最後の夏、真は唯一覚えていた「夕凪浜」という地名を頼りに、母と歩いた千葉県の港町を十数年ぶりに訪れる。未来へ進むために、過去に戻るのだ。